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トランスミッション


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トランスミッション(transmission)とは動力伝達装置のひとつで、伝達する動力の回転数(回転の場合)、速度、トルク等を変換する装置である。自動車オートバイを始め、多くの分野で使用されている。

概要


動力発生源(人力やエンジン等)で産み出された力を他方(車軸等)で使用する際、動力をダイレクトに使用する場合は一本の軸等で直接伝達すれば済むが、動力発生源と出力軸とで、希望する回転数や回転方向、トルク等が異なる場合に、歯数の異なる歯車(ギア)等を組み合わせて希望する出力を得られる様にする為の装置をトランスミッションと言う。
日本語では変速機または変速機構という。英国英語ではギアボックスGearbox)といわれることも多い。

機構


動力発生源等の入力軸と、車軸等の出力軸との間に、単数或いは複数の歯車等を介入させる事により、入力された力の回転数や回転方向を(人力や自動で)調整・操作し、トルクや回転数を変化させる役割を担う。(なお動力発生源には人力、エンジン等の内燃機関、電力モーター等の他に、火力、水力、風力等も挙げられる)通常、歯車を歯数の異なるものに切り替えることで変速を行うが、歯車の代わりにベルト等を用いた無段変速機構や、フルード等の流体を用いた物も存在する。

なお、変速作業は当初人間などが手作業で切り替えていたが、自動化装置の進歩により自動的に最適な出力を得られる自動変速機構もさまざまな場所で使用されている。代表的な事例に挙げられるのが、自動車のマニュアルトランスミッション(手動変速機構)に対するオートマチックトランスミッション(自動変速機構)である。

使用例


自動車(乗用車商用車)、オートバイ、自転車建設機械ベルトコンベアエレベーターエスカレータークレーン車椅子ロボット、その他様々な用途で動力変換に使用される。

種類(自動車)


変速機を備える物のうち最も生活に身近で且つ様々な種類を有するのが自動車である。
元々、一般大衆的には自動車のトランスミッションと言えば「マニュアルトランスミッション(マニュアル)」か「オートマチックトランスミッション(オートマ)」かの2つだけが区別されてきたが、実際にはその他にもマニュアルの構造をベースにクラッチ操作のみ(或いはクラッチ操作と変速操作双方)を自動化した「セミオートマチックトランスミッション(セミオートマ)」等と称される物が広く採用されてきた。更に近年では奇数段と偶数段別々に2つのクラッチ系統を有する「デュアルクラッチトランスミッション」が登場してきており、その性能の優位性から欧州車を中心に急速に採用が拡大している。

歯数の異なる歯車の組合せにより、動力を希望する回転数やトルクに変換して伝達する。多くの場合、歯数の異なる段(ギア)に変速する際に動力の伝達を一旦途切れさせる為、クラッチが備わっている。
自動車用の変速機としては最もスタンダードな機構で、自動車の普及と供に広く採用されてきた。しかし操作の煩わしさ等から年々採用例が減り、一部の用途を除き需要は減っている。例えば日本では2007年度の乗用車新車販売台数におけるシェアは3%未満であった。
日本では「マニュアル」や「MT」と略される事が多い。

マニュアルのクラッチ操作と変速操作の煩わしさから解放される為、マニュアルに代わり広く採用されている。主に採用されている機構の基本的な構造としては、クラッチの代わりに流体継手の一種であるトルクコンバーター遊星歯車機構を採用する事でクラッチ操作が完全に不要となり、また変速も自動で行われるので運転に対する負荷は劇的に減った。
日本では「オートマ」や「AT」と略される事が多い。
なお、旧来は一般的に「オートマ」と言えばトルクコンバーターと遊星歯車機構を持つ変速機の事を指していた。しかし近年では、後述のセミオートマやデュアルクラッチトランスミッションの殆どがクラッチ操作と変速操作を自動で行い特性・操作上殆どオートマと同様の動作をする為、それらがオートマの一種として扱われるようになった。従ってオートマという言葉の持つ定義は年々変わってきている
その為、一部では旧来からのオートマである「トルクコンバーターと遊星歯車機構を持つトランスミッション」の事を簡易的に「トルコンAT」と称し始めている。

オートマ機構をそのままに、変速時のギヤ選択の司令(電気信号)だけを手動で任意選択する事が出来る機構を備えたトランスミッションを指す。従って、あくまでトルコンATの一種であり、特性もトルコンATに準じる。後述のCVTの機構をベースとした物も存在する。
日本では「MTモード付きAT」や「スポーツAT」と称される事が多い。

マニュアルの構造をベースに、クラッチ操作のみ、或いはクラッチ操作と変速操作双方を自動化したトランスミッションで、主にスポーツカー等を中心に採用が広まった。現在流通しているセミオートマチックトランスミッションの多くは、クラッチ操作と変速操作は完全に自動化されており、手動での任意変速も受け付ける。
但し、元々は自動車の黎明期から存在した機構であり、当時はクラッチの断続のみを自動化した装置であったことから、本来はクラッチ操作と変速操作を共に自動化した物はセミオートマチックトランスミッションの範疇に入らなかったが、現在では同義的に扱われている。
日本では「セミオートマ」や「セミAT」と略される事が多い。また、機構がMTの上に成り立っている事から「ロボタイズドMT」や「オートメイテッドMT」、「AMT」と称される事もある。

市販車には2003年に初搭載された新しい機構で、クラッチと段数毎に纏まった歯車セットの組み合わせという点ではマニュアルと同様だが、奇数段のギアを受け持つ出力軸と、偶数段のギアを受け持つ出力軸を別に持ち、それぞれにクラッチを配置する事からデュアルクラッチと呼ばれる。
例えば2速で加速走行中には、隣り合う3速のギアがプリセットされており、あとはクラッチを瞬時に繋ぎかえるだけで変速が完了するので、変速によるタイムラグが実質ゼロとなり、動力ロスが極めて小さく、スポーツ走行に適しており、燃費や乗り心地(変速ショック)の面でも優位である為、採用が拡大している。なお、多くのセミオートマ同様、クラッチ操作と変速操作は完全に自動化されており、手動での任意変速も受け付ける。
1985年ポルシェ社がレーシングカーで試験採用し、その後ボルグワーナー社により開発が進み、2003年フォルクスワーゲン社により市販車に搭載された。以降は性能の優位性が認知され、特に欧州車を中心に急速に採用が拡大している。
尚、商用車用は2010年三菱ふそうトラック・バス社が世界初の商用車用を開発発表三菱ふそうトラック・バス社2010年7月20日プレスリリース「環境性能・経済性能・走行性能を高いレベルで実現する小型トラック用「新型パワートレーン」を開発 ~新型エンジン「4P10」とBlueTec®システムを採用、商用車世界初デュアルクラッチ式トランスミッション「DUONIC」を新開発~」を参照。Dual Clutch Transmission」を新発売」を参照。[http://www.honda.co.jp/news/2010/2100629-vfr1200f.html
日本では「デュアルクラッチ」や「ツインクラッチ」、「DCT」と称される事が多い。

歯数の異なる歯車を組み合わせて段(ギア)を持たされた有段変速機とは異なり、主にベルトやチェーンとプーリーとの組合せ等により、入力軸からの変速比を無段階的に連続変化させ伝達する機構。
出力軸側で希望される回転数やトルクの大きさに関わらず、入力側の最大効率回転数を維持できる事から、エンジンの最も効率の良い回転域を多用でき、燃費やパワー効率の面でメリットがある。許容トルクの問題から従来は小型車向けの機構であったが、改良が進み排気量2000cc以上の車にも搭載されたるようになってきた。
しかし近年では幅広い回転域で効率よく稼働するエンジンが増えてきた事により、CVTの優位性は僅かながら減ってきている。WEBCG掲載のVW社DSG開発エンジニアインタビュー記事参照。http://www.webcg.net/WEBCG/essays/ozawa_koji/e0000018848.html?word=%A5%B4%A5%EB%A5%D5%A1%A1GTI
英名の「Continuously Variable Transmission」を略し「CVT」と称される事が多い。

マニュアルをベースとしたトランスミッションの一種。通常マニュアルに装備されている変速段間の同調を取る「シンクロメッシュ機構」を持たず、代わりに「ドグクラッチ」と呼ばれる噛み合わせ機構を持っている、常時噛み合い(コンスタントメッシュ)式のトランスミッションである。
通常マニュアルでは噛み合わせに要していた僅かな時間が不要となる為、変速時間をより短縮できる事等から、競技用を中心に一部で採用されている。
日本では「ドグミッション」と称される事が多い。

脚注


関連項目




機械要素
自動車部品
*



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』